「手に取る人の気持ちに寄り添いたい」

「手に取る人の気持ちに寄り添いたい」

ひのきのおがくずを袋に詰めながら、
私はいつもその向こうにいる“誰か”のことを想像します。

それは、お風呂に浮かべて香りを楽しみたい人かもしれないし、
ペットのために安心して使える自然素材を探している人かもしれない。
あるいは、ただちょっと、いい香りに包まれてホッとしたいだけの人かもしれません。

わたしが売っているのは、ほんの3グラムほどのひのきのおがくず。
けれど、袋を開けたときにふわっと広がる木の香りは、
誰かの「今日」をやさしく包みこむ力を持っていると、私は信じています。

もともと私は、長く介護の仕事をしてきました。
そこで感じたのは、「人って、目に見えないやさしさにとても救われる」ということです。

たとえば、ちょっとした声かけ。
たとえば、目線を合わせるタイミング。
たとえば、おしぼりの温度や香り。

そんな、説明できないけれど“確かにそこにあるもの”を、
おがくずにも込めたいと思っています。

ただ木を削ったときに出る「くず」じゃない。
きれいに乾かして、不純物を取り除いて、
ひとつひとつ、ていねいに袋に詰めています。

「わあ、いい香り」
「これで癒されたよ」
そんな声が届くたびに、私は、静かにうれしくなります。

派手な商品ではないけれど、
だからこそ、暮らしの中でそっと寄り添える存在でありたい。

これからも、手に取ってくれる人の気持ちに寄り添いながら、
このちいさな「ひのきのおがくず」を届けていきたいと思っています。


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