施設で一緒に働く看護師さんと話をしていたときのこと。
その方は62歳。穏やかで、いつも現場の雰囲気をやさしく包んでくれる方です。
その日、ふとこんなことを話されました。
「咄嗟のときはね、若い看護師さんにお願いするの。もう自分じゃすぐに体が動かないのよ。できないことも増えてきたし…60歳を過ぎると、本当に大変なんだよね」
照れ笑いまじりに話すその姿を見て、私は胸がぎゅっとなりました。
現場の第一線でずっと働いてきた方だからこそ、その言葉には重みがあります。
若い頃なら、瞬時に反応して動けた場面。
今は一呼吸おいて、誰かに任せる選択をする。
それは、「できない」からじゃなくて、「任せる力」が育った証のように感じました。
年齢を重ねることは、ただ体が変わっていくということではありません。
役割も、関わり方も変わっていく。
それでも「自分にできること」を見つけて関わり続ける姿は、ほんとうにかっこいいなと思います。
私は、いろんな世代がそれぞれの働き方を選べる職場でありたいと願っています。
若い人がその力をのびのびと発揮できるように。
年齢を重ねた人が無理をせず、でもちゃんと役に立てるように。
そのためには、支え合える空気と、ちょっとした心の余白が必要なのかもしれません。
そんなことを思いながら家に帰ると、ふわっとやさしい香りがバッグから漂いました。
いつも持ち歩いている、ひのきのおがくずのサシェです。
手のひらにのるくらいの小さな袋。だけど、あの香りがあるだけで、気持ちがすっと整うような気がするのです。
たとえば、現場でちょっと緊張した日も。
家に帰って一息つきたいときも。
ほっとしたいときに、そばにあると助けられる。
癒しって、誰かに言葉で伝えるものじゃなく、そっと隣にいてくれるものなのかもしれません。
今日も、いろんな世代の人たちが、それぞれの形でがんばっています。
そのひとりひとりに、小さくても確かな“やすらぎ”が届きますように。
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