花たちに、冷たい水を

今日は、いつもよりも暑い日だった。
介護の仕事を終えて、そのままお墓参りへ。

この気温じゃ、お花の水もすぐにぬるくなってしまう。
まるでお風呂の残り湯に浸かっているみたいに、あたたかくなっていて——
なんだか、気の毒だった。

だから今日は、水筒に冷たい水を入れて持って行った。
お花を入れる容器を取り出して、きれいに洗って。
茎についたぬめりも落として、傷んだ葉っぱもそっと取り除く。

冷たい水に入れ替えたとき、
ほんの少し、花たちがしゃんとしたような気がした。

風はなかったけれど、
その場だけ、時間がふっとやわらかくなった。


誰かのためにじゃなくて、
してあげたかったから、そうしただけ。

そんな気持ちに、心がすっと落ち着いた。


花に冷たい水をあげた今日、
いちばん潤ったのは、自分の心だったのかもしれない。

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