雨の日、ヒノキのサシェと帰り道

朝、洗濯物を干すときには、いいお天気だった。
太陽の光がまぶしくて、今日も暑くなりそうだなと思ったのに。

出かける頃には、空がすっかり重たい雲に覆われていて
その気配に、洗濯物を慌てて取り込んだ。

仕事へ向かう途中、ぽつぽつと雨が降り始め、
介護施設に着くころには本降りに。

施設の窓から見える庭も、
濡れた葉っぱが静かに揺れていて、
外の世界はずっとしっとりしていた。

仕事を終えて玄関を出ると、空がほんのり明るくなっていた。
雲の切れ間から、やさしい光が差し込んでいる。

そんな帰り道、ふと思い出したのが、
わたしが作っているヒノキのサシェのこと。

ひのきのおがくずを、小さな袋に詰めたもの。
特別なものじゃないけれど、袋を開けた瞬間にふわっと広がる
あの木の香りが、心をそっとほどいてくれる。

雨の日の湿った空気にも、
ほんのりと香るヒノキはよく似合う。
部屋に置いておくだけでも落ち着くし、
お風呂にぽんと浮かべれば、ひのき風呂に早変わり。

そんなふうに香りに包まれると、
「今日もよく頑張ったな」って、自然と思える。

何か大きなことがあったわけじゃないけれど、
湿気と雨とヒノキの香りに、心がすーっと静かになった。

明日もまた、いつも通りの一日が来るけれど
その中でちょっとしたやさしさを見つけながら
暮らしていけたらいいなと思う。


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