最後の日に思う、あの人のこと

明日で、あの人と直接一緒に働くのは最後になる。
退社はもう少し先だけれど、現場で顔を合わせるのは、たぶんこれが最後。

振り返ると、いろんなことがあった。
忙しさの中で気持ちがすれ違ったり、納得できないまま飲み込んだ言葉もあった。
ときには、距離を置きたいと思うことさえあった。

それでも——
いざ「最後」と思うと、心の奥がすこしざわついて、静かに波が立つ。

思い出すのは、不思議と優しい表情だったり、
私が言葉に詰まっていたときに、そっとかけてくれた一言だったり。
あの人がそこにいたから、頑張れた場面が確かにあった。

人の記憶は都合がいいのかもしれない。
でも、そうやって、やわらかく思い出せる今があるのなら——
それはきっと、あの人との時間が「大切なもの」だった証。

うまく伝えられなくても、
心の中では、ちゃんと「ありがとう」と言おうと思う。

明日、あの人に会ったら、
私は静かに笑って、「おつかれさまでした」と伝えよう。
それだけで、十分な気がしている。

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