静かな駅が、好きです

昨日、夫の所用で池袋へ行きました。
週末の池袋。まるで人が空から降ってくるみたいに、次から次へと現れる。
歩き方を忘れるほどの人混みの中、私はただ前へ前へと進むしかなくて。
誰かとぶつからないように、歩調を乱さないように、視線の先まで気を張っていました。

改札の前で、スマホを持つ手に力が入ります。
Suicaのチャージ残高は確認済み。でも、問題は“どこにどうかざすか”。
以前、ICのかざしかたが悪くて「ピンポーン」とエラーになったことがあって、後ろの人の視線や足音に背中が縮こまった経験があります。

だから、それ以来、できるだけ人の波がおさまったときに、そっと改札を通るようにしていました。
ところが池袋では、その「波」が止まらない。
人が途切れない。止まって考える時間もスペースもなくて、緊張で心拍数があがる。

でも、どうにか無事に改札を通過できました。
それだけのことなのに、胸の奥に小さな「やった」が灯る。

そして帰り道。電車を降りて、いつもの駅に戻ると、空気がまるで違う。
ホームに響くアナウンスは穏やかで、足音もまばら。
誰かの咳払いや、自転車のブレーキ音まで聞こえる。
自分の靴音が、はっきりと耳に届いたとき、私は「帰ってきた」と思いました。

やっぱり私は、静かな場所が好きです。
周囲のペースに飲み込まれそうになったあと、自分のリズムに戻ってこれるこの感じ。
それはまるで――おがくずに包まれたような、やわらかい安心感。

今日もまた、そんな場所から一日が始まることに、ちょっとだけ感謝して。
自分のペースで、歩いていこうと思います。

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