
今日は晦日。(みそか)そして、義母の月命日。
今でも我が家では、月の末が給料日。
時代は変わり、給料は銀行に振り込まれるようになったけれど、
この日は、ずっと変わらず「節目の日」だと思っている。
義母が生きていた頃は、
この晦日に給料袋を手渡していた。
手書きの明細書に、きちんと金額を書き、
封筒に現金を詰める作業を、義母とふたり並んでしていた。
電卓を叩く音、封筒の数を確かめる静かな時間。
紙の手触り、現金の重み。
それは、ただの事務作業ではなくて、
「今月もありがとう」という想いを手渡す儀式だったのかもしれない。
職人家族が集まって、缶のお茶を片手に、
「ごくろうさま」「暑かったね」と少しだけ言葉を交わす。
そんな穏やかな晦日の風景。
義母は、その日に旅立った。
命日は、忘れようがない。
家族が集う日を、きっと義母も選んだのだと思う。
月命日が晦日に重なるたび、
私はまた、お墓に足を運び、
お花を整えて、お線香をあげる。
火をつけたひのきの香りが、
今でも義母とつながっている気がして、
自然と「ありがとう」がこぼれる。
今も続いている月末の給料日。
そのたびに、心の中では義母に報告している気がする。
「今月も無事に終わりました。ありがとう」
コメント