おがくずに包まれていた日

おがくずに包まれていた日

こんにちは。「おがくず日和」に来てくださって、ありがとうございます。

今日は、ふと懐かしくなるような匂いと、
それにまつわる、私の小さな記憶のお話です。


私は、子どものころからおがくずに親しんできたわけではありません。
だけど、祖父母の田舎へ家族で帰省したとき、
どこからか漂ってきたあの木の香りを、今でも時々思い出します。

おがくずが敷き詰められた納屋や、
どこか埃っぽくて、でもあたたかい空気の中。
「これが田舎なんだなあ」と、肌と鼻と目で感じたような、そんな記憶。

ふわっと空気に舞うそれを、
大人たちは気にも留めないように通り過ぎて、
私はただ、きょろきょろしながら、その空間を吸い込んでいました。


そんな記憶を思い出すのは、今も我が家に「おがくず」があるからです。

夫は、木を扱う仕事をしています。
毎日作業を終えると、ズボンの裾やポケットの奥に、
しっかりとおがくずをくっつけて帰ってきます。

たぶん、本人は気づいていません。
だけど私は、そのズボンを見るたびに、少しだけほっとするのです。

「今日もきっと、まじめに働いてくれたんだな」って。


おがくずの香りは、どこか懐かしくて、
言葉にできないくらい、やさしい気持ちを呼び起こします。

子どもの頃に一瞬だけ感じた空気、
祖父母のあたたかさ、そして今の暮らし。

全部がつながって、私を包んでくれるような気がしています。


🍃あとがき

今の暮らしの中に、おがくずはいつもそっとあります。
まだ何かを作っているわけではないけれど、
この香りやぬくもりに、私は毎日、ちいさく癒されています。

そんなおがくずの良さを、これから少しずつ、
言葉にして、誰かに届けていけたらと思っています。

この場所が、そのはじまりになれたら嬉しいです。


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