歌っているのは、わたしじゃない

AIとパソコン

今日、わたしの3曲目の歌ができあがった。
タイトルは、「カフェ椅子の影」。

夕方の、誰もいない喫茶店。
木の椅子に、長い影がのびていく。
だれかの気配だけが、しんと残っている——
そんな、ちょっと切ない大人の歌になった。

その曲を眺めながら、ふと、考え込んでしまった。

——わたしは、この曲のどこを作ったんだろう。

歌は、AI(人工知能)が歌っている。
楽器も、AIが弾いている。
歌詞だって、AIが下書きを作ってくれる。

じゃあ、わたしは何もしてないんだろうか?
そう思いかけた、けれど。

——いや、ちがう。

AIが書いてきた歌詞を、そのまま使ったことはない。
「ここの一行、ちょっと違うな」
「この言葉のほうが、わたしらしい」
そう思って、何度も書き直す。
自分の中にある言葉を、足したり、変えたり。

メロディだって、何十回もやり直す。
「もう少しやさしく」「もう少し低く」
納得いくまで、声をかけ続ける。

——AIは、わたしのアシスタントみたいな存在。

ひとりじゃ作れなかった歌を、一緒にここまで連れてきてくれる相棒。
でも、最後の「これでいい」を決めるのは、わたし。

歌っているのは、わたしじゃない。
楽器を弾いているのも、わたしじゃない。
でも、この歌を、わたしらしく仕上げたのは、わたし

「歌い手」じゃない、けれど。
「音楽を作った人」ではある。

夕方のカフェの、誰かが立ち上がったあとの静けさ。
そんな曲を、わたしは伝えられる

それでいいよ、って、自分に言ってあげたくなった。

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